
ロジックレベルの互換性:CMOS・TTL・電圧しきい値・ノイズマージン
VOH・VOL・VIH・VILの比較、ノイズマージンの計算、1.8 V・3.3 V・5 Vデジタル回路の接続方法を解説します。
デジタルピンは電圧の範囲で情報を交換します。接続には、同じ電源・温度・負荷条件における論理認識、許容電圧、十分な駆動電流が必要です。ロジックレベル互換性チェッカーでは片方向ずつ検証します。以下の数値は説明用の設計仮定であり、特定の部品の仕様ではありません。
1. デジタルロジックレベル
受信側は動作範囲内でVIL(max)以下をLOW、VIH(min)以上をHIGHとして認識します。中間は論理不定で、消費電流の増加や複数回の遷移を起こす場合があります。公称3.3 V電源だけでは、ピンの保証電圧、耐圧、電源断時の動作は分かりません。GND電位差も電圧予算に含めてください。
2. TTLとCMOS
従来型TTLはバイポーラ回路、CMOSは相補型MOSトランジスタを使います。しきい値、入力負荷、出力振幅はファミリごとに異なります。5 V TTL入力はVIH = 2 V、VIL = 0.8 Vの場合がありますが、すべての5 V入力に共通しません。電源に比例するCMOS入力もあれば、TTL互換しきい値のHCTもあります。プリセットの入力比率0.7/0.3、出力比率0.9/0.1は説明用で、共通の保証値ではありません。
3. VOH・VOL・VIH・VIL
| パラメータ | 保証の意味 |
|---|---|
| VOH(min) | 指定ソース電流における最小HIGH出力 |
| VOL(max) | 指定シンク電流における最大LOW出力 |
| VIH(min) | HIGHとして保証される最小入力電圧 |
| VIL(max) | LOWとして保証される最大入力電圧 |
標準値と最悪条件の保証値を混ぜないでください。VOH(min)は出力の上限を表しません。VOH(max)とVOL(min)を、文書で保証された許容差を含めて別々に入力します。電圧保証と負荷電流の試験条件を一致させてください。
4. ノイズマージン
NMH = VOH(min) − VIH(min)、NML = VIL(max) − VOL(max)。
負の値は論理不整合を示し、0にはノイズ余裕がありません。正でも設定した警告値未満なら余裕不足です。出力電圧の不確かさΔVを使う場合は、NMH,eff = NMH − ΔV、NML,eff = NML − ΔVと両方が減少します。最初に保証された電源の上下限を使い、許容差を二重計上しないでください。1 V = 1000 mVです。
5. 推奨動作範囲と絶対定格
論理認識しきい値、推奨入力動作範囲、絶対最大定格を区別します。通常動作にはVOL(min) − ΔV ≥ VIN(min)とVOH(max) + ΔV ≤ VIN(max)が必要です。その後、絶対定格を別の入力欄で確認します。ストレス限界内であることは通常動作の保証ではありません。既知の境界だけでも違反は検出できますが、未知の境界があれば完全な合格にはできません。オーバーシュート、アンダーシュート、注入電流、各ピンの5 V許容性、無給電時の制約も別途確認します。
6. 計算例:3.3 V出力から5 V TTL入力
VOH(min) = 2.9 V、VOL(max) = 0.2 V、VIH = 2 V、VIL = 0.8 Vと仮定します。NMH = 2.9 − 2 = 0.9 V = 900 mV、NML = 0.8 − 0.2 = 0.6 V = 600 mVで、警告値0.1 Vを超えます。出力保証範囲0~3.6 V、入力動作範囲0~5 V、絶対定格−0.3~5.5 Vなら、ΔV = 0で電圧条件も満足します。HIGH/LOW駆動能力が各4 mA、入力需要が0.02/0.4 mA、入力数1、プル抵抗なしなら電流も満足します。すべて保証された場合だけ静的互換性ありと判定できます。電流不明ならデータ不足です。
7. 計算例:5 V出力から非対応3.3 V入力
VOH(min) = 4.4 V、VOL(max) = 0.4 V、VIH = 2.31 V、VIL = 0.99 VならNMH = 2.09 V、NML = 0.59 Vです。しかし出力上限5.25 Vは、動作上限3.3 Vと絶対上限3.6 Vの両方を超えます。正のマージンでも互換性はありません。直列抵抗だけで耐圧を保証できず、クランプ、注入電流、電源状態を部品ごとに検討する必要があります。
8. 計算例:CMOSとTTLのしきい値
例1のCMOS出力2.9/0.2 Vを、VIH = 3.5 V、VIL = 1.5 Vの5 V CMOS入力につなぐと、NMH = 2.9 − 3.5 = −0.6 V、NML = 1.5 − 0.2 = 1.3 Vです。TTLに適合した出力でもHIGHが不足します。説明用TTL出力2.4/0.4 Vを同じCMOS入力につなぐとNMH = −1.1 V、NML = 1.1 Vです。逆方向では実際の入出力仕様が必要で、しきい値の名前を入れ替えるだけでは検証できません。
9. レベル変換の選択
方向制御付き変換IC、両電圧領域に対応するバッファ、適切なトランジスタ回路を検討します。抵抗分圧は、負荷、RC整定、クランプ電流を確認した十分遅い単方向信号に使える場合があります。高速・双方向バスへの万能な方法ではありません。分圧計算機で抵抗値を検討し、負荷接続時の回路を確認してください。専用変換ICでも電源順序とタイミングの検証が必要です。
10. プッシュプル・オープンドレイン・電流
プッシュプルはHIGHとLOWを能動的に駆動します。オープンドレインはLOWで電流を吸い込み、HIGHではバス全体のプルアップに電圧を任せます。この計算機はそのHIGH電圧を求めません。双方向MOSFETは一部のバスに使えますが、電圧、容量、タイミングを確認する必要があります。
正の電流の大きさでIH = N × max(|IIH|, |II|) + max(0, VOH(max) + ΔV) / Rdown、IL = N × max(|IIL|, |II|) + max(0, Vpull − VOL(min) + ΔV) / Rupを計算します。V/kΩはmAです。漏れ電流は同じ入力需要の上限であり、二重加算しません。抵抗なしは空欄、需要0は明示的に0を入力します。駆動能力は短絡電流ではなく指定VOH/VOLでの保証値を使います。プルアップ・プルダウン計算機は抵抗や立ち上がりの検討に使えますが、I²C速度を保証しません。
11. 計算の限界
既知の違反があれば互換性なし、違反がなくても必須の電圧・電流が不明ならデータ不足です。全項目が検証済みで、マージンが0または小さい場合は余裕不足、それ以外の静的条件を満たせば互換性ありとなります。共通GNDと負荷時の保証出力範囲を前提にし、エッジ、リンギング、容量性電流、ヒステリシス、競合、電源順序、注入、信頼性をシミュレーションしません。配線についてはPCB伝送線路ガイドを参照してください。
12. 技術FAQ
3.3 Vと5 Vは常に接続できますか?
できません。例1のTTLしきい値は満たせても、例3のCMOS HIGHは不足します。対象部品のデータシートで判断します。
正のマージンだけで十分ですか?
不十分です。例2は両マージンが正でも過電圧です。電流とすべての必須電圧境界も確認します。
絶対定格を通常動作の上限にできますか?
できません。絶対定格は専用欄に、推奨条件はVIN(min/max)に入力します。両範囲の間の電圧は正常動作を保証しません。
プリセットがデータ不足になるのはなぜですか?
電流を意図的に未設定にし、電圧も説明用にしているためです。すべてを保証値に置き換え、不足項目を埋めてください。
交換操作で双方向バスを検証できますか?
完全な部品プロファイルを交換して別の片方向計算を行います。逆方向の情報が不足する場合があるため、各方向と各ドライバを個別に確認してください。
合格ならプロトコルや周波数も保証されますか?
保証されません。立ち上がり/立ち下がり、伝搬、セットアップ/ホールド、GND差、電源状態を確認します。オープンドレインでは全プルアップとシンク経路も対象です。
13. 確認済みメーカー資料
- Texas Instruments SZZA036C — ロジックデータシートの解釈:定義、測定条件、定格区分。
- Texas Instruments SN74LVC1G125データシート:耐圧入力と電源条件の実例。
- Texas Instruments SN74LS00データシート:TTLしきい値と電流条件別の出力保証。
- Texas Instruments SLVA689 — I²Cプルアップ抵抗の計算:抵抗、シンク電流、容量、立ち上がり時間。