
無線周波数帯
ITU、ISM、IEEEレーダー、NATOの各周波数帯について、範囲、波長、代表的な用途を比較します。
執筆・技術レビューElectroDesignForge Engineering Team
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無線周波数帯の名称は便利な略称ですが、複数の命名体系が併存しています。UHF、L帯、C帯、NATOのC帯が同じ周波数範囲を指すとは限りません。
以下の表では、ITU、ISM、IEEEレーダー、NATO/EU/米国のECMにおける主な名称と、その代表的な用途を比較します。
早見表
| 体系 | 対象範囲 | 主な目的 |
|---|---|---|
| ITUの周波数帯番号と名称 | 3 Hz–3 THz | 電気通信全般に用いる名称 |
| ITUのISM指定帯域 | 6.78 MHzから245 GHzまでの個別の帯域 | 産業・科学・医療用途 |
| IEEEのレーダー用帯域記号 | 3 MHz–300 GHz | レーダー技術と関連するマイクロ波用途 |
| NATO/EU/米国のECM帯域 | 0–100 GHz | 軍事電子戦で用いる周波数帯の名称 |
**重要:**帯域名が表すのは周波数範囲であり、送信免許や周波数の割当ではありません。送信前に、最新の各国の周波数割当表、許容送信電力、デューティ比、チャネル計画、機器要件を必ず確認してください。
ITUによる無線周波数帯の名称
ITUの体系では、周波数スペクトルを桁ごとの帯域に分けます。ITUの正式な表記では、各範囲の下限は含まず、上限を含みます。
| 番号 | 記号 | 英語名称 | 周波数範囲 | およその波長 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ELF | Extremely Low Frequency(極低周波) | 3–30 Hz | 100,000–10,000 km | 地球物理、水中を通る極低速通信 |
| 2 | SLF | Super Low Frequency(超低周波) | 30–300 Hz | 10,000–1,000 km | 潜水艦通信、地球物理研究 |
| 3 | ULF | Ultra Low Frequency(極超低周波) | 300 Hz–3 kHz | 1,000–100 km | 地中通信、鉱山内通信、地球物理 |
| 4 | VLF | Very Low Frequency(超長波) | 3–30 kHz | 100–10 km | 時刻信号、航法、潜水艦通信 |
| 5 | LF | Low Frequency(長波) | 30–300 kHz | 10–1 km | 長波放送、無線標識、低周波RFID |
| 6 | MF | Medium Frequency(中波) | 300 kHz–3 MHz | 1 km–100 m | AM放送、海上・航空無線業務 |
| 7 | HF | High Frequency(短波) | 3–30 MHz | 100–10 m | 短波放送、アマチュア無線、電離層反射による長距離通信 |
| 8 | VHF | Very High Frequency(超短波) | 30–300 MHz | 10–1 m | FM放送、テレビ、航空無線、海上・陸上移動無線 |
| 9 | UHF | Ultra High Frequency(極超短波) | 300 MHz–3 GHz | 1 m–100 mm | テレビ、携帯電話、GNSS、2.4 GHzのWi-Fi/Bluetooth、レーダー |
| 10 | SHF | Super High Frequency(センチメートル波) | 3–30 GHz | 100–10 mm | マイクロ波回線、衛星通信、レーダー、5/6 GHzのWi-Fi |
| 11 | EHF | Extremely High Frequency(ミリメートル波) | 30–300 GHz | 10–1 mm | ミリ波レーダー、大容量通信回線、リモートセンシング |
| 12 | THF | Tremendously High Frequency(テラヘルツ波) | 300 GHz–3 THz | 1 mm–100 µm | テラヘルツ帯のイメージング、分光、研究 |
用途は代表例です。正式な周波数割当はITU地域と各国の規制によって異なります。
ITUのISM帯域
ISMは産業・科学・医療を意味します。RFID、Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、LoRaなどの無線システムは、別途定められた無線機器の規則に従って、これらの帯域の一部を共用することがあります。こうした無線システムが自動的にISM機器に分類されるわけではありません。
| 周波数範囲 | 中心周波数 | ITU上の適用範囲 | 主なISM用途・帯域共用の無線用途 |
|---|---|---|---|
| 6.765–6.795 MHz | 6.780 MHz | 全世界。特別な許可が必要 | 誘導加熱、プラズマ、産業加工 |
| 13.553–13.567 MHz | 13.560 MHz | 全世界 | RFID、NFC、誘導加熱 |
| 26.957–27.283 MHz | 27.120 MHz | 全世界 | 産業用加熱、ジアテルミー、認められる地域での近距離無線機器 |
| 40.66–40.70 MHz | 40.68 MHz | 全世界 | 産業用加熱、テレメトリ、認められる地域での近距離無線機器 |
| 433.05–434.79 MHz | 433.92 MHz | ITU第1地域。ただし国ごとに例外があり、特別な許可が必要 | 近距離センサ、遠隔操作、テレメトリ |
| 902–928 MHz | 915 MHz | ITU第2地域 | UHF RFID、LoRa/LPWAN、テレメトリ |
| 2.400–2.500 GHz | 2.450 GHz | 全世界 | マイクロ波加熱、Wi-Fi、Bluetooth、IEEE 802.15.4 |
| 5.725–5.875 GHz | 5.800 GHz | 全世界 | 産業用加熱、RFID、認められる地域での近距離無線・WLANシステム |
| 24.00–24.25 GHz | 24.125 GHz | 全世界 | 動体、存在、液位の検知と近距離レーダーセンサ |
| 61.0–61.5 GHz | 61.25 GHz | 全世界。特別な許可が必要 | ミリ波による検知と近距離通信 |
| 122–123 GHz | 122.5 GHz | 全世界。特別な許可が必要 | 高分解能の検知、分光 |
| 244–246 GHz | 245 GHz | 全世界。特別な許可が必要 | イメージング、分光、科学研究 |
ITU無線通信規則の5.138号および5.150号では、地域ごとに条件が異なります。5.150号に該当する帯域で運用する無線通信業務は、ISM用途からの有害な混信を容認する必要があります。各国の免許不要帯域はITUの指定範囲より狭い場合があります。たとえば、欧州における433 MHzや868 MHzの短距離無線機器(SRD)の規則を、この表から推定してはいけません。
IEEEのレーダー用周波数帯
IEEE 521系列規格は、レーダー技術で使用するアルファベットの帯域記号を標準化しています。同じ記号が衛星通信やマイクロ波システムで非公式に使われることもあり、その場合は境界周波数が異なることがあります。
| 帯域 | 周波数範囲 | およその波長 | レーダー・マイクロ波の主な用途 |
|---|---|---|---|
| HF | 3–30 MHz | 100–10 m | 超水平線レーダー、電離層の観測 |
| VHF | 30–300 MHz | 10–1 m | 長距離監視、樹木を透過する電波の研究 |
| UHF | 300 MHz–1 GHz | 1 m–30 cm | 早期警戒、宇宙監視、長距離探知 |
| L | 1–2 GHz | 30–15 cm | 航空機監視、追跡、長距離レーダー |
| S | 2–4 GHz | 15–7.5 cm | 気象、船舶、航空管制レーダー |
| C | 4–8 GHz | 7.5–3.75 cm | 気象レーダー、追跡、衛星・マイクロ波回線 |
| X | 8–12 GHz | 3.75–2.5 cm | 船舶レーダー、イメージング、地図作成、射撃管制 |
| Ku | 12–18 GHz | 2.5–1.67 cm | 高分解能レーダー、衛星回線、速度計測 |
| K | 18–27 GHz | 1.67–1.11 cm | 近距離レーダー・検知。22 GHz付近では大気吸収がある |
| Ka | 27–40 GHz | 11.1–7.5 mm | 高分解能レーダー、衛星ブロードバンド、高度計測 |
| V | 40–75 GHz | 7.5–4 mm | 近距離通信、研究用レーダー。60 GHz付近では吸収が強い |
| W | 75–110 GHz | 4–2.73 mm | 車載レーダー、セキュリティ用イメージング、リモートセンシング |
| mm | 110–300 GHz | 2.73–1 mm | ミリ波イメージング、分光、実験用レーダー |
異なる命名体系を混同しないでください:IEEEのC帯は4–8 GHzですが、NATO/ECMのC帯は500 MHz–1 GHzです。
NATO/EU/米国のECM周波数帯
これらのアルファベットの帯域名は、軍事電子戦や周波数管理に用いられます。IEEEのレーダー用帯域とは意図的に異なる区分です。
| 帯域 | 周波数範囲 | おおまかな周波数領域 | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|
| A | 0–250 MHz | ELFからVHFの大部分まで | HF/VHF通信、航法、監視 |
| B | 250–500 MHz | VHF上部/UHF下部 | 戦術通信、監視 |
| C | 500 MHz–1 GHz | UHF | 通信、テレメトリ、長距離レーダー |
| D | 1–2 GHz | UHF/IEEE L | 監視、航法、衛星回線 |
| E | 2–3 GHz | UHF/IEEE S | レーダー、テレメトリ、通信 |
| F | 3–4 GHz | SHF/IEEE S | 航空機・気象監視レーダー |
| G | 4–6 GHz | SHF/IEEE C | レーダー、マイクロ波・衛星回線 |
| H | 6–8 GHz | SHF/IEEE C | 追跡レーダー、固定・衛星回線 |
| I | 8–10 GHz | SHF/IEEE X | イメージング、追跡、射撃管制レーダー |
| J | 10–20 GHz | SHF/IEEE X、Ku、K | 高分解能レーダー、衛星回線 |
| K | 20–40 GHz | SHF/EHF、IEEE K、Ka | 精密レーダー、シーカー、大容量通信回線 |
| L | 40–60 GHz | EHF/IEEE V | ミリ波による検知、近距離通信 |
| M | 60–100 GHz | EHF/IEEE V、W | ミリ波レーダー、イメージング、電子支援 |
無線周波数帯の名称の読み方
- 命名体系を特定する。「L帯」は一般にIEEEのレーダー・マイクロ波用途を示しますが、「NATOのL帯」は40–60 GHzを意味します。
- **数値で上下限を示す。**仕様書や適合性評価では、実際の周波数範囲をMHzまたはGHzで記載します。
- **地域を確認する。**ITUの第1、第2、第3地域では、すべての周波数割当やISM指定が共通とは限りません。
- **現地の規則を確認する。**周波数割当、免許不要の条件、EIRP、帯域幅、デューティ比、屋内・屋外での使用、機器の適合性は、それぞれ別に確認が必要です。
自由空間における周波数と波長の関係は次のとおりです。
λ = c / f
ここでλは波長、fは周波数、c ≈ 299,792,458 m/sは光速です。正確な換算には波長計算ツールを使ってください。