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水晶振動子の負荷コンデンサの計算方法 — 完全設計ガイド

水晶振動子の負荷容量の計算、コンデンサの選定、PCB寄生容量の考慮など、水晶発振回路の設計方法を解説します。

水晶振動子の負荷コンデンサ計算ツール →

水晶発振回路の仕組み

水晶振動子は圧電効果により、電気エネルギーと機械的振動を相互に変換します。ピアース発振回路では、マイクロコントローラの増幅器がエネルギーを供給し、水晶振動子が動作する周波数領域を決めます。本ツールは容量ネットワークを設計するもので、能動発振回路全体をモデル化するものではありません。

直列共振と並列共振

等価回路の動インダクタンスと動容量は直列共振周波数fsで共振します。電極の並列容量C0により、それより高い反共振周波数が生じます。並列負荷用の水晶振動子は、その間の周波数で所定の外部負荷に合わせて調整されています。表示周波数が同じという理由だけで、直列共振仕様の水晶振動子に置き換えることはできません。

負荷容量CLとは

CLは、指定動作周波数において水晶振動子の両端から見た等価外部容量であり、水晶振動子のデータシートに記載されています。各外付けコンデンサの容量でも、水晶振動子自体の並列容量C0でもありません。慣例で18 pFや22 pFを使うのではなく、指定CLから計算を始めます。

C1とC2の役割

各コンデンサは発振端子をローカルGNDに接続します。水晶振動子の両端から見ると、GNDを通る経路で直列接続になります。同じ値にすると選定が簡単ですが、異なる値でも負荷モデルは成立します。ただし非対称な構成は能動回路の動作にも影響するため、マイコンメーカーの条件を確認します。

ピアース水晶発振回路図OSC_INとOSC_OUT間の水晶振動子Y1と、各ピンからGNDに接続したC1・C2。表示値は外付けコンデンサの容量です。 C1: 19 pF; C2: 19 pF.マイクロコントローラOSC_INOSC_OUTXINXOUTY116 MHzC1C219 pF19 pFGND
OSC_INとOSC_OUT間の水晶振動子Y1と、各ピンからGNDに接続したC1・C2。表示値は外付けコンデンサの容量です。

PCBとマイコンの寄生容量

簡易モードのCstrayは等価浮遊容量の合計であり、ピン容量を単純に足した値ではありません。詳細モードではCpin1とCpin2を各枝に加え、残りのPCB等価容量のみをCpcbとして加算します。有効になっている内蔵負荷容量も適切な枝に含めてください。同じ容量を両方のモデルで二重計上しないことが重要です。

計算式の導出

直列経路ではQ = C1 V1 = C2 V2、V = V1 + V2なので、1/Cseries = 1/C1 + 1/C2となります。これに等価浮遊容量を加えます。C1 = C2 = Cなら直列項はC/2で、C = 2(CL − Cstray)と変形できます。詳細モデルでT = CL − Cpcb、A = Cpin1、B = Cpin2とすると、展開後はx² + (A + B − 2T)x + AB − T(A + B) = 0です。下記の非負の解が共通外付け容量xです。Tがピンのみの直列合成容量より小さい場合、解は存在しません。

CL=C1C2C1+C2+CstrayC_L=\frac{C_1 C_2}{C_1+C_2}+C_{stray}
C1=C2=2(CL−Cstray)C_1=C_2=2(C_L-C_{stray})
CL=(x+A)(x+B)2x+A+B+CpcbC_L=\frac{(x+A)(x+B)}{2x+A+B}+C_{pcb}
x=T−A+B2+T2+(A−B)24x=T-\frac{A+B}{2}+\sqrt{T^2+\frac{(A-B)^2}{4}}

計算例:負荷容量12.5 pF

CL = 12.5 pF、Cstray = 3 pFでは、C1 = C2 = 19 pFです。最も近いE12値18 pFならCL = 9 + 3 = 12 pFで、差は−0.5 pF(−4%)です。E24では18 pFと20 pFが等距離のため、本ツールは小さい値を選びます。20 pFなら13 pFとなり、+0.5 pF(+4%)です。この割合は容量差であり周波数誤差ではありません。詳細モードでCpcb = 1 pF、両ピン容量が2 pFなら、外付け21 pFにより(23/2) + 1 = 12.5 pFになります。

RTCの例:32.768 kHz

CL = 7 pFの32.768 kHz水晶振動子と、推定Cstray = 2 pFを仮定します。必要な外付け容量は各10 pFで、E12とE24に存在し、負荷は5 + 2 = 7 pFです。この数値は計算例であり、すべてのRTCに適用できる値ではありません。外付けコンデンサを追加する前にRTCの内蔵負荷設定を確認します。周波数は負荷容量の式には入りません。

負荷容量のずれと発振周波数

基本波の並列負荷水晶では、一般にCLを増やすと周波数はfsに近づく方向に下がり、CLを減らすと上がります。下記の近似式は動容量Cmと並列容量C0を用います。これらや水晶固有の周波数可変感度が不明なら、pFの差を信頼できるppmに換算できません。温度、経年変化、初期偏差は別の誤差要因です。

fL≈fs(1+Cm2(C0+CL))f_L\approx f_s\left(1+\frac{C_m}{2(C_0+C_L)}\right)

PCB配線の基本

水晶振動子と負荷コンデンサをマイコン端子の近くに配置します。配線を短くし、ループを小さくします。高速クロック、スイッチングノード、ノイズの多いバスはXINとXOUTから離します。隣接配線や銅箔との容量結合を管理し、GNDへの帰路を短くします。プレーン、ガード、配線禁止領域はマイコン固有の指示に従ってください。追加した銅箔も寄生容量を変えます。

よくある設計ミス

各コンデンサをCLと同じ値にする、ピン容量を無視する、寄生容量を二重計上する、標準値を完全一致とみなす、といった誤りを避けます。用途に応じてC0G/NP0など安定した誘電体を使い、許容差を考慮します。E12/E24は推奨数列であり、入手性や許容差の保証ではありません。測定プローブも容量を加え、発振状態を変える場合があります。

計算の限界と試作評価

本モデルは増幅器利得、水晶のESR、負性抵抗、発振開始余裕、励振電力、非線形性、部品ばらつきを計算しません。CLが一致してもこれらの検証にはなりません。水晶とマイコンのデータシートに基づき、実基板で指定電圧・温度範囲の発振開始と励振レベルを確認します。許容差と量産ばらつきのための余裕も確保します。

計算モードの選び方

用途入力確認事項
対称な新規設計CLと等価Cstray同じC1/C2とE12/E24の負荷差
既存基板の検証C1、C2、Cstray、公称CLは任意実際の負荷と差
ピン容量が既知CL、Cpcb、Cpin1、Cpin2外付け容量と物理的な実現性

技術FAQ

各コンデンサがCLの約2倍になるのはなぜですか?

2個のコンデンサは直列となり、同じ容量ならC/2を寄与します。等価浮遊容量を引いてから2倍します。

C1とC2は異なってもよいですか?

はい。実負荷モードで直列合成容量を計算できます。非対称構成を選ぶ前にメーカーの条件を確認します。

16 MHzと32.768 kHzで式は変わりますか?

負荷容量の式は同じです。ただし水晶のパラメータ、発振開始条件、励振条件は大きく異なる場合があります。

CLが寄生容量より小さい場合は?

正の外付け容量を追加しても目標にはなりません。モデルとピン仕様を再確認するか、適合する水晶や動作設定を選びます。

CLが一致すれば必ず発振しますか?

いいえ。ESR、負性抵抗、増幅器の条件、励振設定、配線も発振開始に影響します。

表示された割合からppmを求められますか?

いいえ。割合は容量差です。周波数のずれには水晶固有のパラメータまたは実測が必要です。

メーカー公式技術資料

関連ツールとガイド

設計時の推定値です。CLの一致は発振開始や安定性を保証しません。ESR、負性抵抗、励振レベル、許容差を確認してください。

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