Ethernet PoE:ピン配置と給電方式
定義
IEEE 802.3の**Power over Ethernet(PoE)**は、同じ四ペアケーブルで直流電力とEthernetデータを伝送します。**給電装置(PSE)**が電力を供給し、**受電機器(PD)**が受け取ります。規格に適合するPSEは、動作電力を供給する前に有効なPDが接続されていることを確認します。
T568AとT568Bの導体識別


図は接点が見える面を手前にし、ケーブルを下向きにして、左から右へピン1~8を示しています。図で識別するのは導体の色です。PoEの方式は常にピン番号で決まります。
**混同に注意:**T568A/T568Bは二種類の色順です。Alternative A/Alternative B(Mode A/Mode Bとも呼ばれます)は、PoE給電に利用できる二種類のペア群です。
PoEのペア群とピン配置
| ピン | T568A | T568B | MDIでの10/100BASE-T信号 | 1000BASE-T以降の信号 | PoE方式 | 同相給電での役割 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 白/緑 | 白/橙 | TX+ | BI_DA+ | Alternative A | A1 — ピン2と同じ直流極 |
| 2 | 緑 | 橙 | TX− | BI_DA− | Alternative A | A1 — ピン1と同じ直流極 |
| 3 | 白/橙 | 白/緑 | RX+ | BI_DB+ | Alternative A | A2 — ピン6と同じ直流極 |
| 4 | 青 | 青 | 未使用 | BI_DC+ | Alternative B | B1 — ピン5と同じ直流極 |
| 5 | 白/青 | 白/青 | 未使用 | BI_DC− | Alternative B | B1 — ピン4と同じ直流極 |
| 6 | 橙 | 緑 | RX− | BI_DB− | Alternative A | A2 — ピン3と同じ直流極 |
| 7 | 白/茶 | 白/茶 | 未使用 | BI_DD+ | Alternative B | B2 — ピン8と同じ直流極 |
| 8 | 茶 | 茶 | 未使用 | BI_DD− | Alternative B | B2 — ピン7と同じ直流極 |
- **Alternative A:**1–2と3–6のペアに同相モードで電力を流します。これらのペアは10/100BASE-Tのデータも伝送します。トランスのセンタータップから注入する方式は、ファントム給電とも呼ばれます。
- **Alternative B:**4–5と7–8のペアを使用します。これらが「未使用」なのは10/100BASE-Tの場合だけで、1000BASE-T以降ではデータも伝送します。
- **四ペア給電(4PPoE):**Alternative AとBを同時に給電します。これによりType 3とType 4の最大電力レベルに対応でき、二ペア給電よりケーブル損失も小さくなります。
表中のA1/A2とB1/B2は極性を示さない識別名であり、電気的な符号ではありません。各ツイストペア内の両導体は同相モードで同じ直流極を担い、別のペアが帰路になります。Ethernet信号は差動のままです。規格適合PDはIEEE 802.3で許容される極性の組み合わせを受け入れる設計なので、ピンやケーブルの色に一律の「+」「−」を割り当てないでください。
PoEのタイプと利用可能な電力
| IEEEタイプ | 制定時の改正規格 | 一般名 | クラス | 給電ペア数 | PSE最大電力 | PD入力で利用可能な最大電力* |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Type 1 | IEEE 802.3af | PoE | 0–3 | 2 | 15.4 W | 13.0 W |
| Type 2 | IEEE 802.3at | PoE+ | 4 | 2 | 30 W | 25.5 W |
| Type 3 | IEEE 802.3bt | 「PoE++」とも呼ばれる | 1–6 | 2または4。最大電力では四ペア | 60 W | 51 W |
| Type 4 | IEEE 802.3bt | 「PoE++」とも呼ばれる | 7–8 | 4 | 90 W | 71.3 W |
マーケティング上の**PoE++**という名称は曖昧で、異なるType 3またはType 4の電力レベルを指すことがあります。4PPoEは全ペアを同時に給電する方式を示し、特定の電力レベルを示しません。容量選定を誤らないよう、タイプ、クラス、PSEの出力電力、PDで保証される電力を確認してください。
検出、クラス分け、給電開始
- 検出:PSEは低電圧で回線を調べ、PDの公称25 kΩの抵抗シグネチャを探します。有効なシグネチャがなければ、IEEE準拠PSEは通常の動作電力を印加してはいけません。
- **クラス分け:**PSEとPDは物理層での信号のやり取りにより電力クラスを決めます。LLDPを併用すると、要求電力と供給可能な電力をさらに調整できます。
- **起動:**PSEはPDの入力コンデンサが充電される間、突入電流を制限し、その後、合意した電力枠を供給します。
- **給電維持:**PDは給電維持シグネチャを示します。負荷が取り外された場合や必要条件を満たさなくなった場合、PSEはポートを停止できます。
IEEE 802.3btにはさらに、四ペア対応の確認、単一シグネチャ/二重シグネチャPDの動作、任意のAutoclassが規定されています。独自の簡易インジェクタを組む代わりに、規格に適合するPSEまたはPDコントローラを使用してください。
パッシブPoEへの注意
いわゆるパッシブPoEのインジェクタは、IEEE方式の検出を行わず、メーカー独自の電圧、極性、ピン配置で直ちに電圧を印加する場合があります。通常のEthernet機器や異なる入力仕様のPDを破損するおそれがあります。
- 「24 Vパッシブ」「48 Vパッシブ」、または独自のピン配置を、IEEE 802.3af/at/btと同等だと扱わないでください。
- 接続する前に、両端の電圧、極性、ピン、互換性を明示的に確認してください。
- 単純な導通テスターだけでは、ポートが規格適合PoEを供給するか判断できません。
ケーブルと施工の健全性
- データ速度に必要なカテゴリーを満たし、PoE電流にも適した四ペア回線を使用します。
- 大電力やケーブル束では、温度上昇、導体径、直流抵抗、導体間の抵抗アンバランスを確認します。
- 表中のPD電力は規格に適合する回線の損失を考慮した値です。細い、長い、または終端不良のケーブルでは電圧降下と発熱が増えます。
- コネクタのシールドやシェルは給電用導体の代わりにはならず、PoEの帰路として使用してはいけません。
関連資料
- Power over Ethernet:動作、電力、設計
- Ethernet RJ45のピン配置 — T568AとT568B
- Ethernetのストレートケーブルとクロスケーブル
- Cat 5からCat 8までのEthernetケーブルカテゴリー
- 10 Mbit/sから40 Gbit/sまでのEthernet BASE-T速度