
キルヒホッフの法則:節点解析と網目解析
キルヒホッフの電流則(KCL)と電圧則(KVL)を適用し、符号の取り方を統一して抵抗回路を段階的に解きます。
執筆・技術レビューElectroDesignForge Engineering Team
編集方針を見る要点:キルヒホッフの電流則(KCL)は各接続点での電流の保存を表します。電圧則(KVL)は、閉路に沿った電圧の代数和がゼロになることを表します。符号の規則を最初に決め、計算中は一貫して使ってください。
早見表
| 法則 | 式 | 物理的な意味 | 対応する解析法 |
|---|---|---|---|
| キルヒホッフの電流則(KCL) | Σ I = 0 | 理想的な節点に電荷は蓄積しない | 節点解析 |
| キルヒホッフの電圧則(KVL) | Σ V = 0 | 閉路に沿って単位電荷あたりのエネルギーが保存される | 網目解析 |
節点は理想導体で結ばれた点の集まりです。枝は二つの節点をつなぎ、一つ以上の素子を含みます。網目は内部に別の閉路を持たない閉路です。
これらの法則は通常の集中定数回路に適用します。時間変化の大きい磁束にさらされる閉路では、誘導電圧も含める必要があり、単純なΣ V = 0だけでは不十分です。
符号の規則:計算ミスを防ぐ基本
電流の向きや電圧の極性は自由に設定できます。それらは計算上の基準で、実際の向きを予測したものではありません。結果が負なら、実際の向きが設定した矢印と逆であることを示します。
抵抗器の受動符号規則
抵抗器では、基準電流が入る側に+、出る側に−を付けます。
I →
(+) ──[ R ]── (−)
V_R = R × I
この規則ではV_R = R × Iで、吸収される電力P = V_R × I = R × I²は正です。抵抗器を+側から−側へ通過すると、網目方程式には電圧降下−R × Iを加えます。逆方向なら+R × Iです。
電源電圧と閉路のたどり方
選んだ閉路の向きに対して:
| 素子を横切る向き | Σ V = 0に入れる項 |
|---|---|
−から+へ | 電圧上昇:+V |
+から−へ | 電圧降下:−V |
| 抵抗器を電流と同じ向きに通る | −R × I |
| 抵抗器を電流と逆向きに通る | +R × I |
計算の途中で符号の規則を変えないでください。式を書く前に回路図へ極性と矢印を書き込みます。
KCL:節点解析
キルヒホッフの電流則は次のように表せます。
Σ I_entering = Σ I_leaving
または、符号を統一して代数和で表すと:
Σ I = 0
節点解析の手順
- 基準節点を
0 Vに決めます。通常は電源の戻り側です。 - 他の節点電圧に
V_A、V_Bなどの名前を付けます。 - 未知の各節点で、電流をオームの法則
(V_node − V_neighbour) / Rで表します。 - すべての節点で同じ符号規則を使ってKCLを適用し、連立方程式を解きます。
- 各電流を求め、KCLと電力収支を確認します。
計算例1:一つの節点から二つの抵抗へ分岐
理想的な12 V電源がR_1 = 1 kΩを介して節点Aに給電します。AからグラウンドへR_2 = 2 kΩとR_3 = 3 kΩを接続します。
節点Aから流れ出る電流を正に取ります。
(V_A − 12) / 1000 + V_A / 2000 + V_A / 3000 = 0
両辺に6000を掛けると:
6(V_A − 12) + 3V_A + 2V_A = 0
11V_A = 72
V_A = 6.545 V
各枝の電流は次のとおりです。
| 枝 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
R_1の電流、12 VからAへ | (12 − V_A) / 1 kΩ | 5.455 mA |
R_2の電流、Aからグラウンドへ | V_A / 2 kΩ | 3.273 mA |
R_3の電流、Aからグラウンドへ | V_A / 3 kΩ | 2.182 mA |
確認:5.455 mA = 3.273 mA + 2.182 mA。節点の電流収支は一致します。
KVL:網目電流解析
キルヒホッフの電圧則は次のとおりです。
Σ V = 0
網目解析は、複数の閉路を持つ平面回路に特に便利です。各網目に一つの電流を割り当て、通常はすべて時計回りに設定します。網目電流が負なら、実際の電流は反時計回りです。
二つの網目で共有する抵抗器
時計回りの電流I_1とI_2を持つ網目がR_cを共有する場合、網目1から見たその枝の電流はI_1 − I_2です。したがって電圧降下は次のとおりです。
V_Rc = R_c × (I_1 − I_2)
網目方程式の負の交差項は、この電流差から直接生じます。
計算例2:抵抗を共有する二つの網目
二つの網目がR_3 = 1 kΩを共有します。最初の網目にはV_S = 10 Vの電源とR_1 = 1 kΩがあり、次の網目にはR_2 = 2 kΩがあります。両方の網目電流I_1とI_2は時計回りです。
網目1について:
+10 − 1000I_1 − 1000(I_1 − I_2) = 0
2I_1 − I_2 = 10 mA
網目2について:
−2000I_2 − 1000(I_2 − I_1) = 0
−I_1 + 3I_2 = 0
解くと次のようになります。
I_2 = 2 mA
I_1 = 6 mA
共有抵抗の電流はI_1 − I_2 = 4 mAです。電圧降下は6 V(R_1)、4 V(R_3)、4 V(R_2)です。最初の閉路では+10 − 6 − 4 = 0 V、次の閉路では+4 − 4 = 0 Vです。後者はR_3を上向き、R_2を下向きにたどります。
節点と網目:どちらを選ぶか
| 状況 | 通常は簡単な方法 |
|---|---|
| グラウンドにつながる枝や電流源が多い | 節点解析 |
| 未知の節点電圧が少ない | 節点解析 |
| 網目と電圧源が少ない平面回路 | 網目解析 |
| 二つの網目間に電流源がある | スーパー網目 |
| 二つの未知節点間に電圧源がある | スーパー節点 |
スーパー節点は未知節点間の電圧源を囲みます。囲んだ全体にKCLを適用し、電源電圧の制約式を加えます。スーパー網目は二つの網目に共有された電流源を迂回します。外側の経路にKVLを適用し、電流の制約式を加えます。
結果の整合性チェック
解いた後は次を確認します。
- 少なくとも一つの節点でKCLを確認します。丸め誤差を除き電流の和はゼロのはずです。
- 独立した各閉路でKVLを確認します。電圧の代数和はゼロのはずです。
- 電力を確認します。供給電力と吸収電力の和はゼロです。受動符号規則では抵抗器の吸収電力は正です。
- 桁の妥当性を確認します。数ボルトの電源とキロオームの抵抗で数アンペア流れる結果は疑わしいものです。
上の節点解析例では、電源は約12 V × 5.455 mA = 65.46 mWを供給します。抵抗器は約29.75 mW、21.42 mW、14.28 mWを吸収し、丸めの範囲で一致します。
よくある誤り
- 交差する配線を節点と見なすこと。接続点の印がなければ、交差する線がつながっているとは限りません。
- 二つの未知節点の間で
(V_A − V_B) / RではなくV / Rを書くこと。 - 二つの網目で共有する抵抗器の符号を途中で恣意的に変えること。
- 電流源は電流の制約、電圧源は電圧の制約を与えることを忘れること。
- 負の結果を手で正に直すこと。符号を残し、最後に実際の向きを解釈します。
関連ツール
抵抗分圧・回路網ツールを開く:節点解析や網目解析の前後に、直列・並列抵抗の合成、等価抵抗、電圧配分、消費電力を確認できます。
参考資料
- G. Kirchhoff、Über den Durchgang eines elektrischen Stromes durch eine Ebene, insbesondere durch eine kreisförmige、1845年。
- IEC 80000-6 — 量と単位:電磁気学。
- C. K. Alexander、M. N. O. Sadiku、Fundamentals of Electric Circuits。